きんぎょ

夜勤のバイトに備えて家のソファで微睡んでいると、ばあちゃんが窓をコツンコツンと叩いた。

「これ、きんぎょ!きんぎょ買ってきたから…えさも買ってきたよ!」

そう言って金魚が6匹中で泳いでいるビニール袋をテーブルに置いてまたどっかに行っちゃった。

ばあちゃん、今年で80歳だ。15年くらい前に一度癌で入院したけれどお見舞いに行ってもニコニコして編み物してた。今だってとっても元気だ。車の免許は去年返納しちゃったけれど、昨日だってうちで飼ってるビーグルたちと庭で追いかけっこしてたし。僕は「転ばないでおくれよ」と気が気でなくなるわけだけど。ばあちゃんはビーグルたちにこっそりえさをあげる。「おやつだよ」と言ってたっぷりとドッグフードを与えちゃう。最近ビーグルの片方が妙に太ってきて寸胴だなあと思っていたら、ばあちゃんが手のひらにアイムスをのせてビーグルたちは嬉しそうに尻尾振ってた。

ばあちゃん、最近ボケてきちゃったのかな、いや、気のせいかな。あんな風に歳を重ねてキュートなお年寄りになれるんなら幸せだなあ。僕もそうなりたい。

 

金魚、ぐるぐると水槽の中を廻る。メダカを飼ってる水槽が家には1つあるから新しく水槽を買う必要はないけれど、せっかくだし金魚鉢買おうかな。ぐるぐると水の中をまわっていられるように。

らんちうっていう文芸誌を今度友だちと出します。いい名前だよね、らんちう。